2015年3月1日日曜日
松本市美術館で映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」観てきました!!
イギリスの美術館、ナショナル・ギャラリーに3ヶ月潜入して製作された
2014年公開のドキュメンタリー映画です。
松本市美術館と松本cinemaセレクトという団体の企画で
松本市美術館の一室で上映されたものでした。
松本市美術館 草間彌生作モニュメント |
鑑賞後の感想は 「長い………笑」 たっぷり181分あります。
おそらく美術館好きでなければギブアップする長さです。
長さについては置いておいて、
美術館の裏話とナショナル・ギャラリーへの愛が詰め込まれた作品です。
ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 パンフレット |
すごく面白かった!
それに勉強になりました。
映画はオムニバス形式というか、
いろんなスタッフさんの様々な場面が次々に
連続して切り替わっていく手法で続いていきます。
いきなり学芸員の絵の前でのギャラリートークから映画がはじまります。
すごく格好いいなと思いました。
話している内容が格好いいし、収蔵品に対する誇りと愛情が伝わってきます。
学芸員の会議の様子、ナショナルギャラリーの前の人通りの景色、
ワークショップ、修復の現場、展示の現場、セミナー、デッサン教室、
見ている来館者の表情 他にも色んな場面をたくさん繋いで構成されています。
印象に残る場面がありすぎて、見終わった後に
一緒に見に行った友達と、こんな場面もあった!こんな人もいた!
という話で盛り上がりました。
とにかくたくさん凝縮されてるんです。
すごく印象に残っているのが、ルーベンスの絵の前での解説。
二人の人物の解説がそれぞれ別々に入っているのですが、
視点が違って面白い。
後半の男性の解説が特に心に残っているのですが、
まず、
何百年前にこれを描いた画家は
こんな絵全体が照明で照らされていることを想定していない
という話から始まります。
ルーベンスのその絵は交流のあった市長の家の
でっかい暖炉の上に飾られていたものだそうで、
ルーベンスもそれを想定して描いたそう。
だから、その部屋の窓からの光を想定していて、
見せたい登場人物がようにちょうど浮き上がるように
右上の脇役たちは暗闇で存在感を持つように描かれている。
絵の中のろうそくでさえも窓からの風にたなびいているように見える
位置関係の上に計算されたものだとか。
作者は明るく描きすぎてしまったときはワニスという塗料で敢えて暗くする。
それを修復の段階でその作者の想定まで読み取れずワニスを落としてしまうことも。
美術館のスタッフがそれを読みとく難しさって大変なことだろうとおもいました。
美術館で展示されている作品をそんな視点で捉えることってなかなかないと思います。
確かに襖絵とかは、実際に部屋にあるとどんな感じかな…って考えますけど。
本来の場所と絵が有機的に結び付いて作者の意図がようやくわかる。
言われてみれば当たり前のような、でも全く気づかないことだなと、はっとさせられました。
作者の設えというか、文脈を読み取る学芸員。
すっごく格好いいなって思いました。
ふつうの来場者じゃ知り得ない美術館の世界、
「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」でのぞいてみてはいかがですか?
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