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2013年9月23日月曜日

高村光太郎「智恵子抄」と犬吠崎




私は高村光太郎が好きで、

よく美術館で彫刻作品をみてはテンションが上がっているのですが、


智恵子抄を読んだことがありませんでした。



高村光太郎「手」
東京国立近代美術館の高村光太郎「手」




文学の授業で、先生が「東京には空がない」という話をしていて、

高村光太郎が好きでありながら、

智恵子抄を読んだことがないのを恥じ入ったので、ついに読みました。




「東京には空がない」というのは

「あどけない話」という詩の一説のことです。



智恵子は東京に空が無いといふ。

ほんとの空が見たいといふ。

私は驚いて空を見る。

桜若葉の間(あいだ)に在るのは、

切っても切れない むかしなじみのきれいな空だ。

どんよりけむる地平のぼかしは

うすもも色の朝のしめりだ。

智恵子は遠くを見ながら言ふ。

阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に

毎日出ている青い空が

智恵子のほんとうの空だといふ。

あどけない空の話である。





話が脱線しましたが、


DIC記念美術館に行ってきました の千葉旅行で

犬吠埼の高村光太郎と智恵子さんが泊まったという宿に宿泊したので、

ひとしきり「智恵子抄」ブームになっていたのです。



宿は「ぎょうけい館」

廊下に高村光太郎の詞「犬吠の太郎も飾られていました。

「ぎょうけい館」高村光太郎の「犬吠の太郎」
「ぎょうけい館」にあった高村光太郎の「犬吠の太郎」



全文はこちら。

太郎、太郎
犬吠(いぬぼう)の太郎、馬鹿の太郎

けふも海が鳴つてゐる
娘曲馬のびらを担(かつ)いで
ブリキの鑵を棒ちぎれで
ステテレカンカンとお前がたたけば
様子のいいお前がたたけば
海の波がごうと鳴つて歯をむき出すよ


今日も鳴つてゐる、海が――
あの曲馬のお染さんは
あの海の波へ乗つて
あの海のさきのさきの方へ
とつくの昔いつちまつた
「こんな苦塩じみた銚子は大きらひ
太郎さんもおさらば」つて
お前と海とはその時からの
あの暴風(しけ)の晩、曲馬の山師(やし)の夜逃げした、あの時からの仲たがひさね
ね、そら
けふも鳴つてゐる、歯をむき出してイメージ 2
お前をおどかすつもりで
浅はかな海がね

太郎、太郎
犬吠の太郎、馬鹿の太郎
さうだ、さうだ
もつとたたけ、ブリキの鑵を
ステテレカンカンと
そして其のいい様子を
海の向うのお染さんに見せてやれ

いくら鳴つても海は海
お前の足もとへも届くんぢやない
いくら大きくつても海は海
お前は何てつても口がきける
いくら青くつても、いくら強くつても
海はやつぱり海だもの
お前の方が勝つだらうよ
勝つだらうよ

太郎、太郎
犬吠の太郎、馬鹿の太郎

海に負けずに、ブリキの鑵を
しつかりたたいた
ステテレカンカンと
それやれステテレカンカンと―― 


ぎょうけい館近くから見た犬吠崎
ぎょうけい館近くから見た犬吠崎



智恵子さんはこの旅行で高村光太郎の自分への気持ちを

確認できなかったら犬吠埼に見投げするつもりでいたらしく、

なんとなく察した宿の人がいつも

二人の外出をこっそり見守っていたそう。


そんな犬吠埼で、二人も見たであろう景色を

見てくることができて満足なのでした。





智恵子抄を読んで、(小説智恵子抄も読みました


智恵子さんの心の美しさ、高村光太郎の奥さんへの愛情


いいなあー!!

と、思いました。


犬吠崎灯台付近の海
犬吠崎灯台付近の海


智恵子抄が好きな方、犬吠埼で思いを馳せてみてはいかがでしょうか?






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